山女魚はどこへ?
2005年 11月 17日
自然の動物たちも、冬支度に余念がない。
私は、友人と何回か渓流釣りに出かける。魚種は山女魚である。この魚は、冬に向かうこの時期、ちょっと深みに集まるみたいで、あまり歩かないで同じ場所で沢山の釣果がある。
三日ほど前には、二人で何百もの山女魚を釣り上げた穴場でもある。
その日は、今までになく朝早くに、自宅を出発してその穴場に向かう。道北の歌登である。途中はまだ陽が昇らず薄暗い。時々キタキツネや、エゾクロテンに会う。
6時過ぎに現地に到着し、身支度をして、釣りの準備にはいる。今日は対岸をねらう。
「おや、山女魚の姿が見えない。」 勿論ひきもない。
上から見ると、普段は、数匹の魚影が見られるが、今朝は違う。全く魚の姿が見えないのである。それでも10分ほど釣ってようやく1匹である。
そろそろ場所を変えようかと思っていると、急に「バシャ、バシャ」と向こう岸近くで、水中に飛び込んできたものがいる。瞬間的に見ると大きな茶色の蛇が、鎌首をもたげて泳いでいるようだ。落ち着いてよくよく見ると水鳥のカワアイサである。
魚を獲るために水中に飛び込んだのである。
釣れないので竿を納め場所の移動であるが、この時、頭の上を二羽のカワアイサが、川上に向かって飛んでいった。車中山女魚のいなくなった理由を、あれこれ考えた。
いつもより時間が早いので、水温が低くて、山女魚が活動をしていないのだろうと二人で話し合った。しかし、場所をかえてみると、あまり時間も変わらないのに、沢山の山女魚が澄み切った水のなかを泳ぎ回っている。結果は、大漁である。
帰りにもう一度、今朝ほどの穴場に戻り、釣ってみたが釣果はゼロである。 あんなに沢山いた山女魚が全くいなくなった。一体どこへ消えたのだろう。
よく見ると前回なかったカワアイサの白いフンが、岩場のあちこちにあった。
二人の結論は、2,3日行かない間に、カワアイサの餌場になり、食べられたり、逃げ隠れをしたのだということでした。 『ああァ、ビックリ!』
(2005年10月27日作成 isamu)